2024年度放送番組審議会開催
NCV函館センターは2025年2月17日に放送番組審議会を開催しました。
■委員
・齋藤 征人 委員(北海道教育大函館校国際地域学科教授・地域協働推進センター長)
・松倉 匠汰 委員(マクドナルド函館松風店店長)
・石川 ゆり 委員(函館市地域交流まちづくりセンタースタッフ)
・阿部 千尋 委員(英会話教室主宰)
・松田 悌一 委員(函館朝市協同組合連合会事務局長)
・下沢 杏奈 委員(一般社団法人いとの代表理事)
■審議番組
「母の死~函館大火から90年~」(26分番組)
■番組概要
昭和9年3月21日に発生した函館大火。市内3分の1を焼失し2,166人が犠牲となった。
米谷勇さん(享年78歳)は、小学5年生で経験した函館大火の回顧録を本にまとめていた。
勇さんの死後、遺品の中からカセットテープが発見される。そこには母を亡くした喪失感や災害に対する
無念の声が吹き込まれていた。肉声を残してまで後世に伝えたかった勇さんの想いとは。
■番組意見
・市民の声を発端とし、さまざまな市民・団体の語りをつないでいく番組構成となっており、貴重な番組だと感じた。
函館には大火、洞爺丸の事故、青函トンネル掘削中の事故、樺太からの引き揚げ、戦災等悲しい史実があり、絶やすことなく後世に残していく必要を感じる。
このように市民も気持ちにそっと寄り添うような番組の制作は、地元放送局ならではの大変意義ある取組みだと思われ、今後も同様の歴史に着目し、ドキュメンタリー制作を推進してほしい。
・それほどの大火があった。という事を知らない人達は函館にとても多く、事実とそこからくる教訓を共有しようとする意図は素晴らしいと思う。
内容や番組のトーン全体から悲しみを共有したり当事者の語りがあるだけに感じてしまい、当時を知っている人がそうだったな。と共感するような内容になっており、
視聴者のターゲット層が高齢者になっているように感じる。もう少し10〜40代がターゲットになるような番組になればネットでの共有も相まって拡散し、
風化しないどころか函館に住むより多くの人に伝わるのではないか。
・大火経験者の貴重な証言などを基にした今回の映像は、函館大火を知らない世代にも、その悲惨さが確かに伝わる作品だと感じた。
大火では焼死よりも溺死が多かったなどの、想像を絶する事実が続き、作品の鑑賞後は少し放心してしまいました。
事実が分かりやすく伝わることによって、視聴者に考えさせることができる作品になっていると感じた。
・自分の住んでいる町に起こった災害が忘れ去られないようにするための試みとして、力の入った良い番組だと思います。
当時の映像や記録もわかりやすい形で提示されて視聴しやすかったのではないでしょうか。
また、若い年代にとっては忘れられている慰霊堂の役割も示されていて、市民の意識を高めることにも一役を担っていると思いました。
体験者の肉声は真に迫るものがありました。生存者が高齢になるに従い、災害をこういった形で後の世代に受け継いでいくことの大切さを実感しました。
別の角度からでは、肉親の死が一人の人に与える影響がどれほど大きいかということも知ることができました。
・制作意図のとおり、確かに90年も経ちますと記憶も風化されることでしょうから、記録としての意味合いでも制作されてよかったのではないかと思います。
当時の大火そのものが現在また起こりうる可能性は低いかと思いますが、東日本大震災やブラックアウト、
暴風雨や大雪など時代毎に様々な災害が起きうる昨今においては、これまでの経験がきっと活きてくるかと思いますので、
今後も制作する意義はあるのではないかと感じた次第です。
・函館の大火と聞いて何も知らなかった自分が恥ずかしくなりました。
まず、とてもわかりやすい番組の構成に拍手しかありません。
そして映像を残してくれていた昔の人にも、今編集してくれた人にも感謝です。
『母の死』の中の体験談のおかげで、より被災者から一個人として感じるものがありとても良かったです。
声も変えてくれたりしてくれたことはとても良かったと思います。
・要所要所にはテロップが出ているが、ナレーションやインタビューの内容についても(できれば全編)テロップを出せると、
このような意義ある番組をより多様な人に見ていただけるものと思う。
・事実の共有は語り手の話だけでなく例えば以前は西高のあたりはこうなっており大火によりこうなってしまった。
そこが今はこうなっている。とビフォーアフターの写真を何ヶ所も載せる。※耳で聞くより目で見る方が記憶に残る。